U.S. Military Bases around the World」への2件のフィードバック

  1. phrh205455 投稿作成者

    航空戦力・基地・海運・エネルギー流通から見る21世紀の「対米包囲戦」シミュレーション


    トランプ政権によるイラン戦争がますます混迷の度合いを増している。

    だがこの構図を少し引いて見ると、一つのことに気づく。米国はイランだけを相手にしているのではない。中国はイラン最大の原油取引顧客であって、ロシアは軍事技術を継続供与し、トルコは独自の中東秩序を模索し続けて、欧州は核合意の崩壊事態に苛立っている。

    米軍基地撤退の話も一部では進んでいる。ホルムズ海峡がこのまま閉じれば、もちろん日本も韓国もインドも巻き添えである(既にそれは現実のものだ)。

    つまりトランプ×イラン戦争は、ある意味で 「全包囲網 vs 米国」 の構図に見えなくもない。

    そこで、思考実験をしてみたいと思った。

    もしイスラエルを除く全世界が米国と対峙したら、それでもなおアメリカは勝てるのか?

    荒唐無稽に聞こえるかもしれない。だが、この問いを真面目にシミュレーションすることで、「米国の強さとは何か」「現代の戦争とは何か」の本質が見えてくるかも知れない。

    ただし、ここでは 航空戦を中心に 話を進める。

    理由は単純で、陸上戦力、核戦力、サイバー戦、経済制裁まで含めると変数が爆発し、シミュレーションとして何も言えなくなるからだ。核を持ち出せば「全員死ぬ」で終わるし、陸戦を含めれば地球上のあらゆる地形と兵站を論じなければならない。

    航空戦力――空軍、基地、給油、海運、エネルギー、衛星――に絞ることで、米国の世界覇権構造の骨格が最もクリアに見える。そしてこの骨格こそが、現代の「勝ち負け」をかなりの部分で決めている。

    まず、航空戦が戦争の形を変えた歴史を振り返っておきたい。

    1940年、ドイツ空軍はイギリス本土を爆撃した。バトル・オブ・ブリテンである。
    だがイギリスはレーダー網と戦闘機管制システムでこれを凌いだ。ドイツは「飛行機の数」では勝っていたが、「空を運用するシステム」で負けた。

    5年後、太平洋では逆のことが起きた。

    B-29は日本本土を焼き尽くしたが、それは単にB-29が高性能だったからではない。マリアナ諸島という基地、太平洋を渡る補給線、制海権、そして、何よりそれらを統合運用できる兵站システムがあったからだ。

    つまり、航空戦とは、最初から「飛行機の性能比べ」ではなかった。基地があり、燃料があり、情報があり、補給線があって初めて、飛行機は意味を持つ。

    21世紀の現在も、この原理は変わらない。むしろ加速している。

    「米国 vs 世界」という構図を考えるとき、我々はつい単純な軍事力比較をしてしまう。F-35は何機か。空母は何隻か。GDPはどちらが大きいか。

    だが、バトル・オブ・ブリテンもB-29も教えてくれている。
    そういう比較では現代戦争は理解できない。

    米国の本当の強さは、戦闘機ではない。

    世界中に散らばった基地、空中給油機、海運保険、ドル決済、GPS、衛星、クラウド、半導体、英語、大学、そして同盟国そのもの――つまり、 「文明インフラ」を統合運用できること にある。

    現代の対米戦争とは、「米軍を撃破する戦争」ではなく、「米国が世界運営を続けるコストを上げ続ける戦争」 になるのだ。

    これは、ローマ帝国型の戦争である。

    1. 米国の空軍力は「別競技」

    まず、現実の数字を見よう。

    米国は戦闘機・攻撃機を約5,000機規模で保有し、空中給油機は500機超。AWACSやISRは世界最大規模、空母は11隻、F-35の運用数は世界最大、衛星は軍民含め圧倒的――。

    そして何より重要なのが、「グローバル前方基地網」 である。

    太平洋には嘉手納、横田、三沢、岩国、グアム、ハワイ。欧州にはラムシュタイン、ラケンヒース、アヴィアーノ。中東にはアル・ウデイド、バーレーン、ディエゴガルシア。

    つまり米国は、「空軍を持つ国」ではなく、「空そのものをシステム化している覇権国家」 なのだ。

    2. 西太平洋戦線:中国の「接近拒否」と基地喪失の悪夢

    中国は米国より弱い。

    しかし、それは「総合覇権」の話であって、
    「西太平洋の局地戦」の話ではない。

    中国の本当の目的は、F-22を撃ち落とすことではなく、
    「米空軍が近づけない空間を作ること」 にある。
    これがA2/AD(接近阻止・領域拒否)と呼ばれる戦略だ。

    DF-21D / DF-26による対艦弾道ミサイル、J-20ステルス戦闘機、S-400 / HQ-9系統の沿岸防空網、衛星・無人機による長距離ISR、そして前方基地を叩く極超音速兵器――中国はこのすべてを統合している。

    ここで、本シミュレーションの前提を思い出してほしい。
    イスラエルを除く全世界が米国と対峙する。 つまり日本・韓国・台湾・フィリピン・オーストラリアが反米側に回る。

    こうなると、そこで何が起きるか。

    嘉手納、横田、三沢、岩国――太平洋の前方基地は一夜にして「攻撃目標」に変わる。米軍はこれらを使えないどころか、撤退戦を強いられる。グアムは辛うじて残るが、中国沿岸から約3,000km。ハワイからは約6,000km。

    この距離が意味するのは、空中給油の地獄 だ。

    米空軍は500機超の空中給油機を持つが、その大半はKC-135とKC-46で、1回のソーティで給油できる戦闘機の数は限られる。前方基地がなければ、F-35が1回の任務を遂行するために給油機が2〜3機拘束される計算になる。戦闘機は足りても、給油機がボトルネックになる。

    さらに、日本の造船能力、韓国の半導体工場、台湾のTSMCが反米側に回るということは、米軍の兵站を支えてきた産業基盤そのものが敵に回るということだ。

    つまり西太平洋では、米国は「戦って負ける」のではなく、
    「飛ぶこと自体が成立しなくなる」 のである。

    ――ただし、現実には、これは起きない。

    日本と中国が「連合」する? 尖閣問題を抱え、台湾海峡を挟んで睨み合い、歴史認識で70年間対立してきた日中台が、ある日突然同じ旗の下に立つ。
    これはファンタジーだ。韓国と日本ですら安全保障で足並みが揃わないのに、そこに中国共産党が加わるシナリオには、まともなメカニズムが存在しない。
    オーストラリアに至っては、中国の太平洋進出を最大の安全保障脅威と位置付けている国だ。

    だがこのファンタジーが示していることがある。
    米国の西太平洋における優位は、米軍の強さではなく、「周辺国が連合できない」という構造に依存している ということだ。
    逆に言えば、もしこの構造が何らかの理由で崩れたとき――たとえば、米国自身が同盟国を切り捨てたとき――米国は西太平洋で急速に脆くなる。

    3. 中東戦線:米国の本当の弱点は、「燃料」ではなく「保険」

    中東戦争の本質は、空戦ではない。ホルムズ海峡 である。

    世界の石油輸送の約20%、LNG輸送の約25%がこの幅33kmの水路を通る。ここが閉まれば、米国自身よりも米国の同盟国が干上がる――と言いたいところだが、本シミュレーションでは同盟国は存在しない。全員が敵だ。

    では、米国にとっての打撃は何か。海運保険 である。

    現代の海運は、船が物理的に沈むかどうかではなく、保険会社がリスクをどう評価するか で動いている。
    ロイズがホルムズ海峡の戦争リスク保険料を引き上げれば、たとえ1隻も沈まなくても海運コストは跳ね上がる。2024年のフーシ派による紅海攻撃がまさにこれだった。数万ドルのドローンと簡易弾道ミサイルで、数十億ドル規模の海運システムが揺さぶられた。

    イランはこのフーシ派モデルを、国家規模で展開できる。

    対艦弾道ミサイル、機雷、小型高速艇、沿岸対艦ミサイル、そして大量のドローン。ホルムズ海峡を「通行不能」にする必要すらない。
    「危険」にするだけで十分だ。保険料が上がり、タンカーが迂回し、原油先物が急騰し、世界中でインフレが加速する。

    さらに本シミュレーションでは、サウジアラビアもUAEもカタールも反米側だ。アル・ウデイド空軍基地(カタール)は米空軍中央軍の拠点だが、これが使えない。
    バーレーンの第五艦隊司令部も失われる。ディエゴガルシアは残るが、ペルシャ湾から約3,500km離れている。

    つまり中東では、米国は基地を失い、燃料供給を脅かされ、しかも 「爆撃しても状況が改善しない」 という泥沼に陥る。
    イランの防空網を叩いても、ホルムズの機雷は消えないし、保険料は下がらない。

    ――ただし、この連合も現実には成立しない。

    中東は「反米」で一枚岩になれる地域ではない。
    サウジアラビアとイランは、イエメン内戦、シリア、イラク、バーレーンで代理戦争を繰り広げてきた宿敵だ。UAEとカタールは2017年から2021年まで断交していた。イスラエルとの国交正常化(アブラハム合意)に踏み切った国々は、まさにイランへの対抗として米国に接近した。

    つまり中東の「反米連合」とは、スンニ派とシーア派が手を結び、王制国家と革命国家が同盟し、イスラエルと戦争中の勢力とイスラエルと和平した勢力が共闘するという、およそ考えられる限り最も不自然な連合である。

    しかしここでも逆説が浮かぶ。
    米国の中東における影響力は、中東諸国が互いを信用できないからこそ成り立っている。 各国はバラバラだからこそ米国を必要とし、米国はバラバラだからこそ各国に基地を置ける。この「分断の上に立つ覇権」は、中東が仮に何らかの形でまとまった瞬間に瓦解する構造でもある。

    4. 欧州戦線:NATOが消えた大西洋

    欧州戦線の問題は、黒海だけではない。NATO自体が消滅する という点だ。

    本シミュレーションでは、イギリス、フランス、ドイツ、トルコ――すべてが反米側に回る。
    これは単に「同盟国を失う」という話ではない。
    米国が70年かけて構築した欧州軍事インフラがまるごと敵に回るということだ。

    ラムシュタイン空軍基地(ドイツ)は、米空軍の欧州・アフリカにおける全作戦の指揮中枢であり、傷病兵の後送ハブでもある。ラケンヒース(イギリス)にはF-35Aが配備され、アヴィアーノ(イタリア)は地中海作戦の拠点だ。これらが全て使えなくなる。

    さらに深刻なのは、大西洋の制空権 の問題である。

    冷戦時代、NATOはGIUKギャップ(グリーンランド〜アイスランド〜イギリス間の海域)を監視し、ソ連の潜水艦が大西洋に出るのを防いでいた。
    このシミュレーションでは、アイスランドもイギリスも敵なのだ。GIUK監視網は消え、大西洋は「米国の湖」ではなくなる。

    そしてイスタンブール。ボスポラス海峡、黒海、東地中海。ここはロシア南部、中東、欧州、地中海を繋ぐ 「弁」 である。モントルー条約により、トルコは黒海への軍艦通行を制御できる。

    トルコが反米側に回れば、ロシア黒海艦隊は自由に地中海へ出られる一方、米海軍は黒海に入れなくなる。

    つまり欧州では、米国は基地を失うだけでなく、大西洋と地中海の両方で行動の自由を制約される。
    米本土からの戦力投射は可能だが、それを受け入れる場所がない。B-2が飛べても、着陸する滑走路がないのだ。

    ――ただし、欧州がロシアと組むシナリオは最も非現実的かもしれない。

    ロシアは2022年にウクライナに侵攻し、欧州の安全保障観を根底から変えた。フ
    ィンランドとスウェーデンがNATOに加盟したのは、まさにロシアの脅威が現実になったからだ。ドイツは戦後最大の防衛費増額を決め、ポーランドはGDP比4%を軍事に注ぎ込もうとしている。この欧州が、ロシアと手を組んで米国に対峙する? 歴史的文脈を考えれば、最もあり得ない同盟だ。

    しかし、ここにもひとつの洞察がある。
    欧州が米国を必要とするのは、ロシアが脅威だからだ。
    もしロシアが何らかの理由で脅威でなくなったら――あるいは米国自身が「欧州は自分で守れ」と言い始めたら――NATOの結束は内側から溶解する。
    トランプ政権が繰り返しNATOの意義に疑問を投げかけてきたことを思い出してほしい。米国の欧州覇権は、ロシアの脅威という「接着剤」で維持されている。接着剤がなくなれば、構造は自重で崩れる。

    5. しかし、それでも、米国は強すぎる

    ここまで読んで、「では世界が連携すれば米国を倒せるのでは?」と思うかもしれない。

    だが問題は、反米側には「統合OS」が存在しない ことだ。

    中国は強大だが海洋同盟が弱い。ロシアは軍事が強いが経済が小さい。欧州は工業力があるが政治統合が弱い。中東は資源があるのだが内部対立が余りに深い。日本は高技術だが安全保障に外部依存している。

    つまり、「米国に対抗する戦略」は存在しても、
    「それを統合運用する文明OS」が存在しない。

    一方、米国はそれを既に持っている。

    ドル、英語、GPS、AWS、Google、NATO、空母、大学、半導体、Hollywood、SWIFT――これらは全部 「兵器」 なのである。

    6. 現代戦争の本質

    だから現代の対米戦争とは、ノルマンディー上陸作戦ではなく、
    「米国が世界を管理し続けるコストを、世界中で少しずつ上げる継続戦争」 になるだろう。

    太平洋では基地を脅かす。中東ではエネルギーを脅かす。
    欧州では海峡を脅かす。宇宙ではGPSを脅かす。
    情報空間では世論を脅かす。

    つまり戦争は、「撃破」 から 「疲弊」 へ変わった。

    7. そして最大の問題

    米国は強すぎる。だから多少の混乱では崩れない。

    トランプ的混乱があっても、ドルは残り、空母は動き、Googleは回り、NVIDIAは成長する。日本なら即死級の政治的混乱でも、米国は持つ。

    だがそれは逆に、
    「壊れながらも動き続ける」 ということである。

    そして歴史上、最も危険なのは、「弱い覇権国家」ではなく、
    「まだ最強だが、維持コストが急増している覇権国家」 なのだ。

    ちょうど、大英帝国後期のように。

    結論

    現代の対米戦争は、米軍との空戦ではない。

    それは、基地、燃料、海運、情報、衛星、保険、ドル、同盟を巡っての、 「文明インフラ戦争」 である。

    そしてその戦争において最も重要なのは、戦闘機の性能ではなく、

    「誰が、世界を”飛びやすい場所”として維持継続できるか」

    なのである。

    返信
  2. phrh205455 投稿作成者

    Map of the Week: U.S. Military Bases around the World

    by Thomas Jang

    UBIQUE (American Geographical Society)

    https://ubiqueags.org/map-of-the-week-u-s-military-bases-around-the-world/

    Since its founding 248 years ago in 1776, the United States has become one of the most powerful nations in the world. With a population of at least 330 million people and a total land area of 3,532,316 square miles, it has amassed vast quantities of wealth and led a political and economic agenda through its participation in world organizations such as the United Nations (UN), the North American Treaty Organization (NATO), and the World Bank Group; occupation of overseas territories; and the establishment of thousands of military bases across Central and South America, Western Europe, the Middle East and North Africa, East Asia, and Oceania. Domestically, as of September 2023, seven states including California, Washington, Texas, Florida, Georgia, North Carolina, and Virginia host 60% of all active-duty troops.

    At least 750 military bases are installed in 80 countries around the world. 173,000 troops are deployed in at least 159 countries. Among these military sites are large bases and small bases, which are also known as “lily pads.” Large bases, which make up 60% of all US bases, are installations larger than four hectares (10 acres) and cost greater than $10 million. On the other hand, small bases, which make up 40% of all bases, are installations smaller than four hectares and serve as cooperative security locations or forward operating sites.

    The largest US military occupation is in Japan, where 53,713 troops have been stationed at 120 bases around the archipelago since the end of World War II. The island of Okinawa is occupied by 70% of the U.S.’s military bases in Japan. Germany has the second-largest number of occupying US troops, with 33,948 troops stationed at 119 bases. Thirdly, South Korea has 26,414 troops at 73 bases—one of which is Camp Humphreys, the U.S.’s largest military base built in 1919. These countries combined account for the largest number of US troops and military bases. Other countries and US territories with the most bases include Guam, followed by Italy, Puerto Rico, and the UK. Others with high numbers of US troops include Italy, the UK, Guam, Iraq, and Bahrain. Whereas South Korea hosts the largest military base in size, Cuba holds the oldest base at Guantanamo Bay, taken by force in 1898 and leased in 1903.

    Since 1950, 200 countries and territories have seen US military presence. In fact, the Stockholm International Peace Research Institute reports the U.S. spends $778 billion on its military, becoming the world’s largest military spender. Several of the most significant deployments of US troops with loss of civilian life include Korea (1950-1953), Vietnam (1955-1975), Kuwait and neighboring Gulf countries (1990-1991), Afghanistan (2001-2021), and Iraq (2003-2011). Since the beginning of the 20th century after the September 11th attacks, the U.S.’s “war on terror” has spent $8 trillion in military spending.

    US military bases have had various political, economic, social, and environmental impacts on the countries they occupy. The Peace Science Digest states the occupied country’s forces are reduced following a “false sense of security” formed by US military presence. Several anti-base movements have emerged in Okinawa and the Philippines, calling for their disestablishment.

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