たとえば「自由」はリバティか(渡辺浩)

 

かつて美術家の荒川修作は、日本を「概念のない国」と評した。われわれは普段、「自由」や「権利」といった言葉を、普遍的で自明な概念のごとく疑いもなく使い、世界を眺めている。学校でそう習ったからだ。

たとえば「自由」はリバティか(渡辺浩)」への2件のフィードバック

  1. phrh205455 投稿作成者

    たとえば「自由」はリバティか

    西洋の基礎概念とその翻訳語をめぐる6つの講義

    by 渡辺浩

    幕末から明治の初め、西洋文明を形づくる基礎的な概念が日本に入り、さまざまな試みの末に「自由」「権利」「法」「自然」「公/私」「社会」といった翻訳語が普及した。これらは、果たして原語と同じ意味だろうか。日本政治思想史の研究者が、西欧における原義を探り、翻訳語の意味との相違を明らかにする連続講義。

    目 次

     開講にあたって
     表記について

    第1講 「お金に不自由しています」FREEDOM・LIBERTY
     1.「自由便当」とFreedom
      (1)コンビニ
      (2)奴隷でないこと
     2.翻訳の試み
      (1)困難
      (2)試みの例
     3.「自由」
      (1)普及
      (2)「自由民権」
      (3)疑い

    第2講 「武士の一分でござる」RIGHT
     1.「利権」と「正しいこと」
      (1)「権利」とは
      (2)Rightとは
      (3)「権」である「利」
     2.翻訳の試み
     3.「株」と「分」

    第3講 「正義省」はどこに LAW
     1.Law/right/justice
     2.Law/Gesetz/loi
     3.「法」と「理」
      (1)清朝中国において
      (2)徳川日本において
      (3)維新前後

    第4講 「この村は、本性がいっぱいです」NATURE
     1.Nature/nature/Natur
      (1)本性
      (2)被造物
     2.「自然」
      (1)Spontaneous
      (2)ズレ
     3.「天」と「性」
      (1)「天」と「天然」
      (2)「性」

    第5講 「それは公用ですか」PUBLIC/PRIVATE
     1.「公用」
      (1)混乱
      (2)共通
     2.Public/private
     3.公/私
      (1)共にする/しない
      (2)重なる波紋
     4.おほやけ/わたくし
      (1)「公方」「公儀」「公界」
      (2)入れ子
     5.「公私混同」

    第6講 「キミも、いよいよ社会人だね」SOCIETY
     1.「社会国家」と「社会人」
      (1)social/sozial
      (2)交際
      (3)世間
      (4)「社会」
     2.「仲間」「組」「連中」「社中」
     3.「社」「会」「会社」

     注
     講義を終えて
     人名索引/史料索引

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  2. phrh205455 投稿作成者

    西洋近代が育み日本語に翻訳された「自由」や「権利」「社会」といった抽象語は、概念そのものについての誤解や不理解も手伝って、原語と意味のズレが生じているものが多い。本書は日本政治思想史の泰斗が政治にかかわる言葉を取り上げ、日本語への移入と定着の過程を読み解く。

    返信

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