While often compared, the Thucydides Trap and the Kindleberger Trap address distinct aspects of power transitions. The Thucydides Trap, coined by political scientist Graham Allison, warns of the risks of war when a rising power threatens an established one. In contrast, the Kindleberger Trap focuses on the consequences of a leadership vacuum rather than direct confrontation. Together, these concepts underscore the complexities of maintaining global order amid changing power structures.
Thucydides Trap
https://en.wikipedia.org/wiki/Thucydides_Trap
The Thucydides Trap, or Thucydides’ Trap, is a term popularized by American political scientist Graham T. Allison to describe an apparent tendency towards war when an emerging power threatens to displace an existing great power as a regional or international hegemon. The term exploded in popularity in 2015 and primarily applies to analysis of China–United States relations.
Supporting the thesis, Allison led a study at Harvard University’s Belfer Center for Science and International Affairs which found that, among a sample of 16 historical instances of an emerging power rivaling a ruling power, 12 ended in war.
That study, however, has come under considerable criticism, and scholarly opinion on the value of the Thucydides Trap concept—particularly as it relates to a potential military conflict between the United States and China—remains divided.
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Kindleberger Trap
https://en.wikipedia.org/wiki/Kindleberger_Trap
The Kindleberger Trap is a geopolitical and economic concept rooted in the work of economic historian Charles Kindleberger and later formalized by Harvard professor Joseph Nye. It is frequently discussed alongside the Thucydides Trap, another framework that examines tensions arising from shifts in global power dynamics. While the Thucydides Trap focuses on the dangers of a rising power threatening an established one, the Kindleberger Trap centers on the risks stemming from a failure to adequately provide global public goods—such as economic stability, security, or free trade—during transitions of international leadership.
トゥキュディデスの罠
https://ja.wikipedia.org/wiki/トゥキュディデスの罠
トゥキュディデスの罠は、米国の政治科学者グレアム・アリソンによる国際政治学上の用語で、新興国が既存の大国の地域的ないし国際的な覇権の地位を脅かそうとする際に、必然的に戦争に陥ってしまう傾向があるという主張を説明するものである。この用語は2015年に爆発的に普及し、主に米中関係を分析する際に取り上げられることが多い。
アリソンはハーバード大学ベルファー科学・国際問題研究所(英語版)で研究を率い、新興国と既存の覇権国が衝突した歴史上の16の事例のうち、12の事例が戦争に至ったということを突き止め、この主張を擁護した。しかしながら、この研究は相当の批判を受けており、トゥキュディデスの罠という概念の価値を巡っては、特に米中間の潜在的な軍事衝突可能性に関するところにおいては、学術的な見解は分かれたままである。
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キンドルバーガーの罠
https://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/ssqs/250619ssqs.html
マサチューセッツ工科大学(MIT)のチャールズ・キンドルバーガー教授は、戦間期(1919~1939年)の世界情勢の混迷が覇権的リーダーシップの不在によってもたらされたと分析した。これをもとに、ハーバード大学のジョセフ・ナイ教授は、現代の国際社会が再度「キンドルバーガーの罠」ともいうべき危機に直面していると警告した。 特に、2025年にアメリカではトランプ政権が再登場し、保護主義的な通商政策の実施、国際機関からの脱退などによって、国際秩序を支える公共財の提供が著しく後退している。他方、台頭する新興国である中国は、その空白を埋めるにはまだ力が不足している。このように、キンドルバーガーの罠は現実になってきている。
米国による国際公共財を提供する責任の放棄は、国際秩序の基盤を根本から揺るがしかねない。
帝国を降りてゆくアメリカ、覇権国なき空白の危うさ。想定外のショックに脆弱な世界経済
by 河野龍太郎
東洋経済 ONLINE
https://toyokeizai.net/articles/-/923476
トランプ大統領が2025年4月に発表した相互関税は、アメリカが覇権国から降り始めたことを意味する。
歴史的に帝国とは域内の経済活動が活発化し交易が拡大することでメリットを得る存在だ。ところがトランプ関税は全体のパイを大きくするのではなく、各国の経済活動や自由貿易に縮小圧力をかける。このような収奪的な動きは帝国の典型的な末期症状といえる。
なぜアメリカはこれほど法外な関税を課すのか。米大統領経済諮問委員会(CEA)のスティーブン・ミラン委員長はこう説明した。アメリカが運営する国際安全保障や国際金融、自由貿易に各国はフリーライド(ただ乗り)しているから、コストを負担すべきだと。
実際にはアメリカが通貨覇権から得ているメリットは極めて大きい。しかし、覇権の利得はアメリカ国内でITや金融のグローバリストに集中している。製造業が疲弊する地域経済やそこに暮らす労働者には届いていない。本来はアメリカ国内でITや金融部門に課税し、再分配すればいいはずだが、あまりにも分断が広がりすぎて再分配が困難になっている。
再分配できず収奪
アメリカの覇権が揺らいできたのは、中国をはじめ新興国が台頭したからであるように見えるが、実は再分配など国内の社会制度に対する正当性や信認が揺らいだこともある。そこでトランプ政権は他国から収奪して国内の困難を除こうとしている。日本をはじめ諸外国に投資を求め、製造業を復活させようとしていることが典型だ。
アメリカが覇権を降りるとき、何が起きるのか。第1期トランプ政権下で米中対立が始まった17年に取り沙汰されたのが「トゥキディデスのわな」だ。覇権国と新興国が衝突し戦争に至ると懸念されたが、同年に国際政治学者ジョセフ・ナイは、真の危機とはむしろ「キンドルバーガーのわな」、すなわち覇権国の不在だと論じた。
なぜ1929年のアメリカ大恐慌が世界大恐慌に発展し、第2次世界大戦に至ったのか。グローバルな経済ショックが起きたときには、経済を安定させるための機能を覇権国が果たす。ところが当時、覇権国イギリスは第1次世界大戦で国力を失ったため役割を果たせず、新興のアメリカはその意思を持たなかった。
キンドルバーガーは覇権国が果たすべき役割を5つ挙げた。1つ目の「国際的に開かれた財市場の維持」はまさにトランプ大統領が相互関税で潰した。今後、重要になるのが5つ目の「グローバル危機時の最後の貸し手機能」だ。
リーマンショック後やコロナ禍に、FRB(米連邦準備制度理事会)は各国の中央銀行と通貨スワップ協定を結び、市場が求めるドルを供給した。今トランプ政権下でグローバル危機が起きたら、ドルを借りられるのか。
タダで貸しはしない